遊びながら覚える都道府県 ―家庭でできる楽しい学び方―

 大人でも子どもでも、「勉強が苦手」と感じている人は少なくありません。興味が持てなかった、途中で難しくなってついていけなくなったなど、その理由はさまざまです。だからこそ、子どもが「学ぶこと」に苦手意識を持たないようにするためには、小さい頃には遊びを通して学ぶ経験を積み重ねていくことが大切です。

 幼児期の生活の中心は「遊び」です。子どもたちは遊びの中で、言葉や考える力、友だちとの関わり方など、多くのことを自然に学びながら成長していきます。しかし、小学校に入ると生活は大きく変わります。椅子に座って授業を受ける時間が増え、学びのスタイルが急に変化します。この環境の変化によって、落ち着いて授業を受けることが難しくなったり、学校生活にうまく適応できなかったりする状況を、「小1プロブレム」と呼ぶことがあります。

 学校ではさまざまな対策が取られていますが、家庭でもできる関わりがあります。その一つが、遊びと学びをつなげることです。今回家庭でもできる学習アイテムとして紹介するのは、「ココどこ?にっぽん!(知育カードゲーム)」です。このカードゲームは、都道府県の位置関係や地域の文化、特産品などを、ゲーム感覚で楽しく学べるアイテムです。

 小学校では社会科の授業で、都道府県の名前や位置、地域の特産物などを学びます。教科書を読んで興味を持てる子もいますが、読むことに苦手意識がある子にとっては、ゲームのように遊びながら学べる方法がとても効果的です。ただ地図を暗記するだけでは、なかなか面白さを感じにくいものです。しかしこのカードゲームでは、地域の食べ物や工芸品などの話題と結びつけながら、日本の地理や文化を自然に覚えていくことができます。このような遊びの経験を通して、「地域の文化や違いって面白い」「日本のことをもっと知りたい」といった興味が生まれれば、それは将来の主体的な学びへとつながっていきます。

 家庭で子どもの学びを支えるときに大切なのは、勉強を強制しないことです。親が勉強することを押しつけるのではなく、子どもの興味や好きなことと学校の学習内容を結びつけ、「ちょっと気になる」「少しやってみたい」という気持ちを引き出すことが重要です。今回は社会科の学びの一例を紹介しましたが、例えば、電車が好きな子であれば時刻表を使って算数の足し算を学んだりする方法もあります。

 強制される学びは、どうしても嫌なものになりがちです。一方で、遊びや興味から始まる学びは、子どもにとって自然で楽しいものになります。子どもの中にある「知りたい」という気持ちを大切にしながら、家庭でも学びのきっかけを作っていけると良いですね。

この記事を書いた人

松山東雲女子大学准教授

鏡原崇史氏

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広島大学大学院修了(博士〈教育学〉・公認心理師)。専門は発達心理学および特別支援教育。 療育施設で障がいのある子どもの支援に携わったのち、発達段階に応じた支援法や療育プログラムの開発に取り組む。 現在は松山東雲女子大学で保育士・幼稚園教諭養成の科目を担当しながら、保育所・幼稚園・こども園や小学校などを巡回し、 子どもたち一人ひとりの発達に即した助言や支援を行っている。 愛媛県特別支援教育専門家チーム委員、松前町子ども・子育て会議委員も務める。