非認知能力は生涯にわたって伸びますか?

Q. 非認知能力は生涯にわたって伸びますか?
A. 伸び幅が大きいのは幼児期ですが、学び方次第で生涯伸びます。
保護者の方からよくいただく質問の一つに、「非認知能力は幼児期以降はもう伸びないのですか?生涯にわたって伸びますか?」というものがあります。結論からお伝えすると、非認知能力は幼児期以降も伸ばすことができます。ただし、伸び方や育て方には年齢ごとの特徴があります。今回は、これらの特徴についてお答えします。
非認知能力とは?
非認知能力とは、主体性や、好奇心、協調性、感情調整能力、落ち込んでも再起できる力(レジリエンス)など、生きていくうえで欠かせない力の総称です(詳しくは、育児のお役立ちコラム「今話題の非認知能力って何?」で解説しています)。確かに、幼児期は土台づくりの最も重要な時期です。幼児期の安心できる大人との関わりや、遊びの中での「やってみたい」「できた!」という経験が、これらの力の基礎になります。
児童期以降の非認知能力
一方で、児童期以降に伸びないわけでは決してありません。小学生になると、非認知能力は認知能力(いわゆる学力)とより深く関連しながら伸びていきます。例えば、日々の学習の中で、「わかった!」「テストの点数が上がった」という経験は自己肯定感ややる気を高めます。そうすると、学習に積極的に向かうようになり、認知能力も高まっていきます。
難しいのが、どのようにして子どもが自主的に学ぼうとする環境を作っていくかです。幼児期は遊びが中心の生活であるため、子どもたちは自主的に活動に参加しやすいものです。しかし、小学校以降は勉強が中心の生活になるため、学びを楽しんだり、興味を持って取り組んだりすることのハードルは高くなります。関わりのポイントとして、学びの過程に目を向けた声かけや興味を持つきっかけになるような工夫をすることが大切です。
例えば、宿題が終わったかどうかだけを確認するのではなく、「どこが一番むずかしかった?」「どうやって考えたの?」と学びの過程に目を向けた声かけをすることが挙げられます。また、勉強に苦手意識がある子に対しては、「勉強しなさい」「頑張りなさい」と促すのではなく、好きなことや得意なことと学習内容を結びつける工夫も有効です。電車が好きな子であれば時刻表で計算をしてみる、絵を描くのが好きな子であれば学んだ内容をイラストにしてみるなど、その子なりに「面白い」と感じられる入口を用意することで、学びへの抵抗感は和らぎます。こうした関わりの積み重ねが、「自分で取り組む学び」や「学ぶことが楽しい」という意識の形成に繋がっていきます。
その他にも、非認知能力は「経験をふり返る力」や「自分で考えて選ぶ力」と結びついて発達していきます。例えば、うまくいかなかった出来事を一緒に振り返り、「次はどうする?」と考えることは、粘り強さや自己調整力を育てます。また、結果だけでなく努力の過程に目を向けた声かけは、挑戦し続ける意欲につながります。中学・高校、そして大人になってからも同様です。失敗や迷いを経験しながら、自分なりの目標を見つけ、人と協力し、試行錯誤する中で非認知能力は磨かれていきます。年齢が上がるほど、「教える」よりも「一緒に考える」「任せてみる」関わりが大切になります。
まとめ
非認知能力は「幼児期で決まってしまう力」ではありません。幼児期に芽を育て、児童期以降は経験を通して、認知能力と関連しながら深めていく力です。短期間に伸ばそうとするものではなく、年齢に合った関わりを日々積み重ねていくことが大切です。