理由なく学校を休んでいい「有休システム」どう思いますか?

Q. 子どもにも学校を休んでいい「有休システム」を作っている親がいると聞いたことがあります。先生はどう思いますか?

A. 保護者側に明確なねらいがあり、子ども自身も学校で学ぶことの大切さを理解しているのであれば、一概に否定されるものではないと思います。

 まず前提として、日本の小学校・中学校は義務教育です。ここでよく誤解されがちなのですが、法律上「学校に行く義務」があるのは子ども本人ではなく、保護者が子どもに教育を受けさせる義務です。そのため、「保護者が一方的に学校に行かせない」ことは、義務教育という制度に反することになります。

 昔は、「休まず毎日学校に行くことが正しい」「多少の体調不良でも登校するのが当たり前」という考え方が主流でした。しかし現在では、体調や心の状態を優先すること、家庭の事情に応じて柔軟に判断することも大切だという認識が広がっています。私が子どもの頃には、皆勤賞のために体調が悪くても学校に来ている友達がいたのを覚えていますが、最近では皆勤賞を取りやめる学校も増えています。

 今回の質問にある「有休システム」についても、「無理をさせないため」「自分の状態を考えて判断する力を育てたい」といった明確なねらいがあり、さらに子ども自身も「学校での学びや友だちとの経験は大切なものだ」と理解しているのであれば、必ずしも悪いものではないと思います。

 ただし、一つ大切にしておきたい視点があります。それは、毎日学校に通い続けることは、決して「当たり前」ではないということです。学校を休まずに過ごすために、日頃から体調に気を配り、気分が乗らない日でも自分なりに気持ちを整えながら登校している子どももいます。
 価値観が多様になり、さまざまな選択が認められるようになってきたからこそ、このような子どもたちの努力が「無理をしているだけ」「意味のない頑張り」と受け取られたり、見下されたりするような社会にはなってほしくないと思っています。休む選択も、通い続ける選択も、どちらもその子なりの大切な判断として、互いに尊重されることが何より大切だと考えています。

 

この記事を書いた人

松山東雲女子大学准教授

鏡原崇史氏

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広島大学大学院修了(博士〈教育学〉・公認心理師)。専門は発達心理学および特別支援教育。 療育施設で障がいのある子どもの支援に携わったのち、発達段階に応じた支援法や療育プログラムの開発に取り組む。 現在は松山東雲女子大学で保育士・幼稚園教諭養成の科目を担当しながら、保育所・幼稚園・こども園や小学校などを巡回し、 子どもたち一人ひとりの発達に即した助言や支援を行っている。 愛媛県特別支援教育専門家チーム委員、松前町子ども・子育て会議委員も務める。