「遊び」は最高の学び ―五感から広がる子どもの世界―

 乳幼児期の子どもは、言葉で理解する以前に、五感を通して周囲の環境と関わりながら、少しずつ世界を理解していきます。見る・聞く・触る・嗅ぐ・味わうといった感覚を伴う経験は、心や身体、認知の発達を支える大切な土台です。そのため、子どもが身の回りの環境に自ら関わろうとできるよう、大人が環境を工夫していくことが重要になります。

遊びを通して学ぶ

 乳幼児期の学びにおいて大切なのは、「遊びを通して学ぶ」という視点です。子どもは遊びの中で、素材の感触や音、動きの変化に気づきながら、自分なりに遊び方を工夫し、遊びを少しずつ発展させていきます。こうした気づきや試行錯誤の経験は、思考力や探究心の芽生えに繋がるとても重要なものです。質の高い遊びの環境を整えるには、素材の多様さや、子どもの興味や関心に沿った遊びを用意することが欠かせないポイントになります。

「先取り学習」より「遊び」の積み重ねが大切

 早期教育の名のもとに、いわゆる「先取り学習」が注目されることがあります。小学校で学ぶ内容を、幼稚園などで先に学ばせる取り組みで、幼児期から漢字や算数に触れさせる例も見られます。学ぶこと自体は決して悪いことではありませんが、乳幼児期において何より大切なのは、「遊びを通して学ぶ」ことです。
 子どもは、夢中になって遊ぶ中で、新たな気づきや工夫を生み出していきます。もちろん、漢字や数に関わる遊びに熱中できるのであれば、それも一つの経験と言えるでしょう。しかし、幼児にとってそれらは難しく、遊びとしての面白さを感じにくい子どもが多いのが実態です。
 乳幼児期に五感を通して十分に遊ぶ経験は、その後の学力や非認知能力の確かな土台になります。成果を急がず、「感じる」「遊ぶ」時間を大切にすることが、結果的に子どもの健やかな成長に繋がります。

 次回のコラムでは、今回の内容をふまえて、フォルネのアイテムを使った遊び方やその際の保護者としての関わり方のポイントについて紹介します。

この記事を書いた人

松山東雲女子大学准教授

鏡原崇史氏

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広島大学大学院修了(博士〈教育学〉・公認心理師)。専門は発達心理学および特別支援教育。 療育施設で障がいのある子どもの支援に携わったのち、発達段階に応じた支援法や療育プログラムの開発に取り組む。 現在は松山東雲女子大学で保育士・幼稚園教諭養成の科目を担当しながら、保育所・幼稚園・こども園や小学校などを巡回し、 子どもたち一人ひとりの発達に即した助言や支援を行っている。 愛媛県特別支援教育専門家チーム委員、松前町子ども・子育て会議委員も務める。