今話題の非認知能力って何?

 最近、「非認知能力」という言葉をよく耳にするようになりました。今回は、非認知能力って何?どうして重要なの?をわかりやすくお伝えします。

非認知能力とは?

 非認知能力とは、「やってみたい!」と思う気持ち(主体性)や、新しいものにワクワクする気持ち(好奇心)、友達と力を合わせる力(協調性)、落ち込んでも再起できる力(レジリエンス)、イライラや不安をコントロールする力(感情調整能力)など、生きていくうえで欠かせない力の総称です。

 従来日本では、読み書きや計算などの「学力(認知能力)」が重視されてきました。しかし近年、こども家庭庁や文部科学省では、子どもの主体的な遊びや対話を通した発達の支援を強調しており、保育・教育現場でも非認知能力が注目されています。

認知能力との関係性

 非認知能力は一見すると学力とは関係がないように思えますが、学力の土台となる非常に重要な力です。

 ただ指示に従い勉強だけを進めてきた子は、「自分で選ぶ・やり抜く経験」が少なく、本当に関心のあることを見つけにくかったり、失敗すると立ち直れなかったりすることがあります。

 反対に、非認知能力を育ててきた子は「自分に必要なこと」「興味のあること」に自ら向き合えます。そして、困難な課題も友達と力を合わせて乗り越え、失敗しても「もう一度やってみよう」と挑戦できます。そのプロセスが、学びを深め、結果的に「認知能力(学力)」も伸ばしていくのです。

非認知能力を高めるには?

 非認知能力は、特に幼児期に伸びやすいと言われています。幼児期であれば、「遊びから学ぶ」を重視すると共に、「対話的な関わり」を継続することが大切です。親が一方的に決めたり、押し付けたりするのではなく、子どもの興味関心を尊重しながら、話し合いを通して親子の関わりを深めていくことが重要です。より詳しい方法は、次回以降のコラムでまたご紹介します。

先取り学習はダメ?

 小学校の学習内容を先取りする方法を取り入れている家庭や塾等もあり、「小学校の勉強、早く始めないと不安…」というお気持ちもよくわかります。ただ、これには注意が必要です。

 短期的にみたら「うちの子は他の子より進んでいてすごい!」と思えるかもしれませんが、非認知能力を高める機会の損失につながるリスクが高くなります。短期的な見かけ上の成果より、長期的な育ちを支える非認知能力を育む体験を充実させた方が、子どもの将来にとってのメリットは大きくなります。

 非認知能力と認知能力は、どちらか一方が大切というわけではなく、自転車の前輪後輪のように、両方とも大切で不可欠な存在です。子どもの将来を大切に思うからこそ、認知能力だけでなく、非認知能力も一緒に伸ばしていくような関わりをしていきたいですね。

この記事を書いた人

松山東雲女子大学准教授

鏡原崇史氏

著者写真

広島大学大学院修了(博士〈教育学〉・公認心理師)。専門は発達心理学および特別支援教育。 療育施設で障がいのある子どもの支援に携わったのち、発達段階に応じた支援法や療育プログラムの開発に取り組む。 現在は松山東雲女子大学で保育士・幼稚園教諭養成の科目を担当しながら、保育所・幼稚園・こども園や小学校などを巡回し、 子どもたち一人ひとりの発達に即した助言や支援を行っている。 愛媛県特別支援教育専門家チーム委員、松前町子ども・子育て会議委員も務める。