「スマホ」が子どもに与える影響①(乳幼児期のコミュニケーション編)

今やスマートフォンは、大人だけでなく子どもにとっても身近で欠かせない存在となりました。保護者自身が忙しかったり、子どもが「見たい!」と言ったりすることで、つい「スマホ育児」になってしまうこともあるでしょう。スマホはとても便利な道具ですが、乳幼児期の子どもにとっては、発達に悪影響を及ぼす側面もあります。

今回は、乳幼児期の発達に焦点を当て、スマホ利用が子どもの「コミュニケーション」に与える影響について解説します。

【コミュニケーション機会の減少】

乳幼児は、まわりの人と関わるなかで言葉を覚え、言語能力を発達させていきます。ところが、保護者が日常的にスマホを使用していると、子どもと向き合う時間や声かけの回数が減ってしまい、コミュニケーションの機会そのものが少なくなってしまいます。その結果として、言語発達に遅れが出る可能性があります。

一方で、スマホでアニメや動画を見ることによって、新しい言葉を学ぶことができるという面もあります。ただし、これは「聞くだけ」「見るだけ」の受け身の学びになりやすく、相手の話を聞いて返すというような、社会的コミュニケーション能力は育ちにくくなります。言葉の量は増えても、相手と関わる力が十分に育たない危険性があります。

スマホのある生活を完全になくすことは難しいものです。しかし、子どもと関わる時間だけでも、スマホから少し距離を置いてみることが大切かもしれません。限られた時間でも、親子でしっかりコミュニケーションを取り、創造的に遊ぶことが、子どもの健やかな発達を支える大きな力になります。

絵本の読み聞かせは簡単にできるコミュニケーション機会を確保する方法です。他には、「はじめてのペーパープレイブック」や「ペーパープレイブック」、「ビーチ積み木セット」は、親子で一緒に楽しめて、発達にもつながるおすすめのアイテムです。

この記事を書いた人

松山東雲女子大学准教授

鏡原崇史氏

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広島大学大学院修了(博士〈教育学〉・公認心理師)。専門は発達心理学および特別支援教育。 療育施設で障がいのある子どもの支援に携わったのち、発達段階に応じた支援法や療育プログラムの開発に取り組む。 現在は松山東雲女子大学で保育士・幼稚園教諭養成の科目を担当しながら、保育所・幼稚園・こども園や小学校などを巡回し、 子どもたち一人ひとりの発達に即した助言や支援を行っている。 愛媛県特別支援教育専門家チーム委員、松前町子ども・子育て会議委員も務める。