スモールステップを心掛けても結局急かしてしまってイライラ......

Q. 一度に複数指示すると処理できない我が子。スモールステップを心掛けて声かけしても動作がゆっくりで、 他のことに気をとられて時間がなくなり、結局は親が急かしてドタバタ、イライラしてしまいます。

A. スモールステップ以外の方法も取り入れてみましょう。

時間に追われると、大人もつい焦ってイライラしてしまいますよね。そんな時に役立つ工夫を、スモールステップに加えて3つ紹介します。

1. 事前に伝える

いきなり複数のことを言われると、子どもは気持ちの整理がつかず混乱してしまうことがあります。予定を前もって伝えておくと、どんな準備が必要か心の準備ができ、落ち着いて行動しやすくなります。

2. 視覚化する

言葉だけではわかりにくい場合があります。指示を文字やイラストで見える形にすると理解がスムーズになります。大人でも口頭だけよりメモがある方が安心ですよね。子どもは処理できる情報量がまだ限られているため、視覚的に示すことで理解しやすくなります。

3. 「発達の最近接領域」を意識する

予定があって急いでいるとき、子どもがモタモタしていると、つい親が代わりに準備をしてしまうことがあります。状況によっては仕方のないことですが、できるだけ子ども自身が準備をして「できた!」という成功体験を積むことが理想です。

子どもには「一人でできること」と「まだできないこと」があり、その間には、大人が少し手助けするとできる領域があります。これを「発達の最近接領域」と呼びます。
たとえば、靴下を自分で履くのが難しいときに、大人が最後まで履かせてしまうのではなく、つま先だけを手伝い、残りは子ども自身に任せてみる。そうすることで「自分でできた!」という実感を得やすくなります。小さな工夫で、子どもの自信や主体性を育むことができます。

こうした工夫を助けてくれるアイテムとして、「お支度ハンガー」や「お支度ボード」があります。アイテムも上手に活用しながら、毎日の生活が「できた!」でいっぱいになるよう工夫してみてください。

この記事を書いた人

松山東雲女子大学准教授

鏡原崇史氏

著者写真

広島大学大学院修了(博士〈教育学〉・公認心理師)。専門は発達心理学および特別支援教育。 療育施設で障がいのある子どもの支援に携わったのち、発達段階に応じた支援法や療育プログラムの開発に取り組む。 現在は松山東雲女子大学で保育士・幼稚園教諭養成の科目を担当しながら、保育所・幼稚園・こども園や小学校などを巡回し、 子どもたち一人ひとりの発達に即した助言や支援を行っている。 愛媛県特別支援教育専門家チーム委員、松前町子ども・子育て会議委員も務める。