「なぜなぜ期」が始まったら ー子どもの「なんで?」にどう向き合う?ー

「なんで?」が止まらない

 「なんで寝ないといけないの?」「なんで野菜を食べないといけないの?」「なんでお兄ちゃんはいいのに、私はだめなの?」など、子どもから次々と飛び出す「なんで?」に戸惑った経験のある保護者も多いのではないでしょうか。このような「なんで?」「どうして?」が増える時期は、「なぜなぜ期」と呼ばれます。正式な学術用語ではありませんが、保育や子育ての場面でよく用いられています。私自身も、何度答えても「なんで?」のループから逃がしてもらえず、困った経験があります。

 このような理由や原因をたずねる質問は、語彙が急激に増える時期や、物事の因果関係に関心を持つようになる発達とも重なり、2歳半ごろから少しずつ見られ始め、3〜5歳ごろの幼児期に特に活発になることが知られています。

「なんで?」は学びの入り口

 なぜ雨が降るのか、なぜ空は青いのか、なぜ人によってルールが違うのかなど、子どもは日々の生活の中で出会うさまざまな出来事について、「なんで?」と問いかけながら少しずつ理解を深めていきます。
 つまり、「なんで?」は子どもが自分なりに世界の仕組みを理解しようとしている姿であり、学びの入り口でもあるのです。

大切なのは「答え」よりも「考えること」

 「なんで?」と聞かれたとき、みなさんはどのように答えていますか。
 学びの入り口という視点に立つのであれば、「どうしてだと思う?」「一緒に考えてみようか」と問い返し、子ども自身が考える機会をつくることをおすすめします。また、答えがわからないときには、「わからないから、一緒に調べてみよう」と提案するのもおすすめの方法です。
 わからないことは恥ずかしいことではありません。大切なのは、「わからない」と認め、そのことについて学び、わかることを増やしていくことです。大人も一緒に考えたり調べたりする姿を見せることで、子どもは学び続ける姿勢そのものを身につけていきます。

問いを育てる関わり方

 今は、AIやインターネットを使えば、すぐに「答え」を得られる時代です。しかし、現在の教育現場では、最初からAIやインターネットに頼るのではなく、まずは実際に虫や生き物を観察したり、人に話を聞いたり、教科書や資料集を調べたりしながら、自分なりに考えることが大切にされています。

 大切なのは、すぐに答えを知ることではなく、自ら問いや仮説をもち、深く考えようとする姿勢です。

 忙しい毎日の中では、この「なんで?」が負担に感じる日もあるかもしれません。しかし、ぜひ子どもの「なんで?」に耳を傾けてみてください。その問いの中には、子どもの成長や興味・関心を知るヒントがたくさん隠されているはずです。


この記事を書いた人

松山東雲女子大学准教授

鏡原崇史氏

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広島大学大学院修了(博士〈教育学〉・公認心理師)。専門は発達心理学および特別支援教育。 療育施設で障がいのある子どもの支援に携わったのち、発達段階に応じた支援法や療育プログラムの開発に取り組む。 現在は松山東雲女子大学で保育士・幼稚園教諭養成の科目を担当しながら、保育所・幼稚園・こども園や小学校などを巡回し、 子どもたち一人ひとりの発達に即した助言や支援を行っている。 愛媛県特別支援教育専門家チーム委員、松前町子ども・子育て会議委員も務める。